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 長細い箱が届いた。  そう言えば。  ものすごく若くて、ものすごく浅はかだった三十年ばかり前のわたしは、細長い箱に入ったバラの花(棘ははずしてある)の贈りもの、というのに憧れていたなあ。どんなひとから贈られることを想像していたのか。ともかく、箱入りバラを受けとるにふさわしい女性になりたいと(1)。  結局、箱入りのバラを贈られることはなかった。そうだ。それを受けとるのにふさわしい女性にはなれなかった。だが、それはそれでよしとしよう。  長細い箱が届いた。  さて、この目の前の長細い箱のなかみ(2)、開ける前からわかっている。長ねぎである。夫の実家(埼玉県熊谷市)の畑からやってきた長ねぎ。実家のあるあたりは、深谷ねぎや下仁田ねぎで有名な地もほど近いのを見ても、ねぎとは相性のいい土壌なのだろうか。どの季節のねぎも、おいしい。  (3)、わたしの大雑把な「おいしい」は、丹精してねぎを育てる義父(ねぎはおもにちち担当)を喜ばせないだろう。なぜと云って、ちちにすれば、育てたねぎにはその都度、「上出来」、「普通出来、「甘みもうちょっと」、「おいしいが細い」など、その評価に細かいランク付けがあり、ときには「いまひとつだったんよお」と云いながら、またあるときには「これは、よくできた」と顔をほころばせながら、手渡してくれる。だから、どのねぎに向けても、等しく「おいしい」と云うのなんかは……  このあいだもらってきたばかりなのに、また(4)送ってくれたところを見ると、よほどの自信作なのだろう。箱入りの長ねぎの花束である。

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